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「私の出産」~母から子へ伝えたい言葉~

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菊川 敬子さん 092

大切なこどもたちへ
ママのお腹に来てくれて、本当に本当に、ありがとう

 

 
「ママのお腹に来てくれて、本当に本当に、ありがとう。」

 娘が1歳を迎えた頃、2人目を授かった。
 出血があったりしたが、無事に心拍も確認でき、元気で育っていてくれていることに安心した。
「次の健診で出産予定日が決まりますよ。」
 次回の健診日はちょうど私の誕生日。「神様から私への誕生日プレゼントだ!」なんて思いながら、その日は自分へのプレゼントに母子手帳も貰いに行こうかな、などウキウキしてその日を待った。

 誕生日当日。

 「残念ですが、心拍が確認できません…。」

 一瞬で頭が真っ白になった。言葉にならず、涙が溢れて止まらなかった。お腹の子は、小さくなって心拍が止まっていた。辛くて辛くてどうにかなりそうだった。出血が続いていたこと。気持ち悪かったつわりが落ち着いてきていたこと。考える程、何がいけなかったのか、良くないことをしてしまったのか、自分を責めた。最高の誕生日になるはずが、人生最悪の誕生日になった。

 夫に電話をすると、私が泣いて様子がおかしいことにすぐに気づいてくれたが、まさかこんな最悪の事態になるとはこれっぽっちも思っていなく、「うん…うん…」と話を聞き、午後の仕事を休み、ずっとそばにいてくれた。

 娘の時も、出血がすごく、切迫流産の診断を受けたが、なんとか耐えてくれて無事に出産することができたことから、まさかこんなことが起こるなんて、流産はどこか他人事のように思っていたところがあったのかもしれない。でも、妊娠すれば誰にでも起こりうることなのだ。妊娠は奇跡であり、出産はその奇跡の連続なのである。

 稽留流産のため、手術で処置することになったが、出血の様子をみると、手術日までに自然に出てしまうかもしれない、とのこと。日に日に出血の量は増えていき、鮮血がではじめ、血の塊のようなものがでた。
 手術2日前には、腰に強い痛みを感じ、キューッと子宮が収縮するようなお腹に強い痛み。流産がわかってから寝泊まりしてくれていた母が背中さすってくれ、少し痛みが緩和されるような気がした。涙が止まらなかった。

 手術日まで自然排出することなく、お腹にいてくれた赤ちゃん。手術は15時45分から。午前中に手続きをし、ベッドで横たわりながらその時を待った。最後に撮ってもらったエコー写真には小さくなった胎児が写っており、ずっとずっと見つめていた。

 13時頃、腹痛が強くなり、ナースコールを押した。体を起こすことも辛く、車椅子で処置室へ運ばれた。「引っかかっている部分があるから、それだけ出して、あとは予定通り手術で。」と先生は言っていたが、そのまま綺麗に全部、自然に出てきてくれ、手術する必要がなくなった。痛くて、苦しくて、血圧も92から160まで上がった。足元は血の海で、フラフラだった。

 「赤ちゃん、会いたいです。」と伝え、処置後に胎嚢見せてもらい、「ありがとう。頑張ったね。」と、直接言ってお別れすることができた。この数日、トイレの時流れちゃったらとか、手術後にはもう見れないよなとか、しょうがないことなんだけど、モヤモヤして、心配していたが、自分の納得のいく形でお別れでき、辛かったけど、少し晴れやかな気分だった。
 「時間通りに出てきてくれて、ママの体を傷つけずに、とても優しい子だったね。」と、看護師さんが声をかけてくれて、また涙がでた。確かにそうだ、本当にうちの子は優しい子。夫似の優しい子だったのだ。

 その後、子宮仮性動脈流が見つかったりと、しばらくは慌しかったが、今、私のお腹には、新たな宝物がきてくれた。私はまた奇跡を起こすことができ、今も絶やすことなく奇跡を積み重ねている。
 少しずつ大きくなっていくお腹がとても愛おしい。この子に会えることは当たり前ではない。
そう思いながら、3冊目のアルバムにエコー写真をしまう。

娘、お空にいる子、お腹の子。
3人とも、ママのお腹に来てくれて、本当に本当に、ありがとう。

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