母親が長寿の女性は健康に長生きできる? | 薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

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薬学博士 竹内久米司さんからのアドバイス

2019.09.13

母親が長寿の女性は健康に長生きできる?



科学的栄養学No.71
 

◇母親が長寿の女性は健康に長生きできる?

 

ご両親またはお母さんが長寿の女性には朗報です(^^)/

 

母親が90歳を超える長寿だった女性は、本人も同じように長生きできる可能性が高いことが
米カリフォルニア大学サンディエゴ校(
UCSD)家庭医学・公衆衛生学部のAladdin Shadyabらによる
研究で示唆されています。

 

両親がともに長生きだった場合にも、その娘は長生きする可能性が高かったが
父親だけが長生きした場合にはこうした関連はみられないことも分かったという。


 Shadyabらは、大規模コホート研究である女性健康イニシアチブ(Women's Health InitiativeWHI)に、
19931998年に参加した22,735人の閉経後女性を2017年まで長期にわたり追跡し、両親が健康で長生きすることがその娘である女性の健康や寿命に及ぼす影響について調べた。

 その結果、母親が
90歳以上まで生きた女性は、そうでない女性に比べて心疾患や脳卒中、糖尿病、
がん、大腿骨近位部骨折などの深刻な健康問題を抱えることなく長生きする確率が
25%高いことが分かった。

 

また、両親が二人とも90歳まで生きた女性は、そうでない女性に比べて健康に長生きする確率は
38%高かった。

 

一方で、父親だけが90歳以上まで生きた場合には、こうした関連はみられないことも明らかになった。

 高齢化が急速に進む米国では、健康寿命を延ばすことは公衆衛生上の重要な課題となっている。

 

今回の結果について、論文では両親が健康で長生きした女性は、自分自身も90歳まで生きられるだけでなく、重大な疾患や障害を抱えずに健康に老いることができる可能性があると説明している。

 

また、このように長生きした女性は入浴や歩行、階段の上り下りなどを自立して行うことができ、
ゴルフなどの趣味も楽しんでいたという。

 今回の結果から、女性は親の寿命で自分自身が健康に長生きできるのかを予測できる可能性が示された。

 

しかし、寿命には親から子へと受け継がれる遺伝子や環境、生活習慣といった複数の要因が複雑に関与すると考えられると指摘。

 

また、こうした結果が得られた背景は不明だとして、「特定の環境要因や行動要因が遺伝要因と
どのように相互作用して加齢に影響を及ぼすのかについては、今後、研究を重ねて明らかにする必要があるとしている。


 さらに、今回の研究で、母親が90歳以上まで生きた女性は学歴が高く、結婚相手の収入が高いなど経済的に恵まれていたほか、日常的に運動し、食生活も良好だった傾向がみられた。

 

これらを踏まえた上で、論文では遺伝子は自分で決めることはできないが、親は子どもに健康的な生活習慣や日々の行動の大切さを伝えることはできる。

 

こうした生活スタイルの選択が、何世代にもわたって健康な老後を過ごせるかどうかの鍵となる可能性があると結論。

 

 

コメント

最新のゲノム研究から、「遺伝子は努力で変えられる」ということが示唆されるようになりました。

 

つまり遺伝子そのものは変えることはできませんが、遺伝子の使われ方を変えることができるということです。

 

遺伝子の使われ方を変えるとは、生活習慣や食習慣のよし悪し、また胎児期における環境化学物質の曝露などの影響など行動習慣や、環境によって遺伝子の使われ方がかわること、それは世代を超えて伝わっていくということを意味しています。

 

私が発表した「経皮毒」、すなわち日用品に含まれるの環境化学物質が経皮吸収されること、それが皮下の脂肪組織に長期間蓄積されることで体に様々な悪影響を及ぼすことを指摘しました。特に胎児期に母体を通して脳神経系や生殖系、免疫系の遺伝子が発生する時期に曝露されることで、遺伝子に軽度の欠陥(微小欠陥)が生じること、その結果その後の人生に大きな影響を及ぼすことが危惧されます。

最近の子供たちの異常行動、学習障害(LD)、注意欠陥多動障害(ADHD)、いじめや差別、成人してからの幼児虐待なども、その原因は同じ延長線上にあると考えています。そしてその影響は継世代毒性として代々世代を超えて伝えられてくことが動物実験では証明されています。経皮毒で私が伝えている「継世代毒性」はまさに遺伝子で引き継がれていくことを最近のゲノム研究は示唆しています。

 

良い生活習慣や食習慣は勿論、偏った食習慣や良くない生活習慣などの行動習慣が脳に蓄積されプログラミンがされていきます。このプログラムの書き換えはまさに遺伝子の使われ方を変えていくことになるのだと考えられます。

 

10月からシリーズでスタートする私の新しい公開講座「102歳を豊かに生きる食と脳の使い方」と題しての第1回目は、食習慣や行動習慣の大切さを遺伝子研究の成果を取り入れながら掘り下げて、わかりやすく楽しくお伝えしてまいります。

10月26日(土)14:00-16:30 国立オリンピック記念青少年総合センターにて

 

詳細は後日私のfacebookにてご案内してまいります。

 

 

原著論文はこちら

Shadyab AH, et al. Age Ageing. 2018 Aug 15. [Epub ahead of print]

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